飯田研究集会~未来を拓く自治と協働~

 2月2日・3日と1泊2日で、飯田市で開催されたシンポジウムに参加してきた。

 目的は、長野県は各地域で公民館がしっかりと残っており、地域の結びつけるうえで大きな役割を果たしている。その背景にあるものは何か、そしてどうすれば本当の意味の自治と協働を根付かせることができるか、日本各地の先進事例を交えながら参加者間で意見交換した。

 

 そもそも公民館は、昭和21年に各地域で郷土を振興するために、①社会教育、②社会娯楽、③自治振興、④産業振興、⑤青年の育成を目的と、地域の起爆剤となることを目指して、日本全国に設立された。その後、時代のニーズに沿うかたちで変遷を重ねてきておいる。戦後間もなくは生活向上・安定化(調理指導、職業訓練)、高度経済成長期は伝統・文化振興(サロン)、経済安定期にはパートの増加や農村の高齢化により衰退しはじめる。そして現在は、主に市民セミナー中心に生涯学習を目的として、まちづくりセンターと名称を変えてNPOなどに指定管理され自立して運営されている公民館も多い。

 設立当初の目的としては既に必要性は乏しいようにも感じるけれど、ここ長野県では住民自治や人材育成のためには公民館は無くてはならない施設として、未だに数多く旧村単位に存置されている。公民館は地域住民の拠り所であり、公民館運営の四原則として①地域中心、②対等平等、③住民参加、④自立を掲げ、地域に愛着を持って住み続けるきっかけを与える場と認知されている。この地域で暮らす人々にとっては、公民館はあって当たり前であり、生活の一部として自然とそこにある。結果として、公民館は、若者の地域活動の入口として存在し、そこで地域の伝統文化を学び、地域に愛着を持った人材を育てている。特に飯田市では、行政研修として1年間程度、中堅職員が公民館主事として派遣され、地域住民に鍛えられて行政に戻るというシステムが確立されている。

 この研究集会のまとめとして、重要な示唆がいくつかあった。自治のためには、一人一人が当事者であり続け、地域に愛着や誇りを持つことが必要。また協働のためには、お互いに認め合い、参加者個々人が役割を担うことが必要。そして、地域が維持されるためには、その地域で共有できる想いを持つことが必要で、結果として地域愛に結びついていく。飯田の語源は結の田ということで、まさに日本固有の人と人とが助け合い結びついていく姿がそこにはあった。

 

 今回の研究集会を通じて、京都のまちづくりに活かせるヒントを幾つか掴めた。単純な場としては公民館ではなく、京都には「講」という寄合所が残っており活用策を検討していきたい。単に教える・教えられるという集まる場ではなく、参加者個々人が活躍でき必要とされる場づくりをして、最終的には楽しい居場所となることが目標である。

 また、まちづくりには必ず想いの共有が必要であり、明確なアウトプットを提示しなければならない。今年、京都では日本食のUNESCOへの無形文化遺産登録や京料理の文化財登録を目指しており、食の関係で多いに盛り上がっていく。ここは、食文化を中心として想いの共有を図り、ますます京都に愛着を持ってもらい、真の住民自治につなげていけるよう仕掛けていきたいと思う。

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